Tom Staniford さんは、英国のトップレベルのパラサイクリング選手。生まれたときの体重は普通だったが、その後の子ども時代に顔や四肢の脂肪をほぼすべて失った。それでも、Staniford さんの体は、自分が太り過ぎていると判断し、さらに痩せようとしているという。

Staniford さんの目標は、2016年のパラリンピックに出場することだ
Staniford さんの目標は、2016年のパラリンピックに出場することだ

いくら食べても太れない男性Tom Stanifordさん (Tom Staniford さんの Twitter 投稿より)
いくら食べても太れない男性Tom Stanifordさん (Tom Staniford さんの Twitter 投稿より)

Staniford さんの症状は、長くその原因が不明とされてきた。だが、科学者はこの希少遺伝子疾患の原因となる遺伝子変異を発見。Staniford さんが、世界でわずか8人しかいない「MDP 症候群」であると解明した。英国メディア Daily Mail が伝えている。

Staniford さんの顔には、脂肪が付いていない
Staniford さんの顔には、脂肪が付いていない

同メディアが伝えたところでは、いくら大量に食事を取っても、どんなに高カロリーな食事を取っても、Staniford さんの体に脂肪が付くことはないのだという。これだけ聞くとうらやましい話にも聞こえるが、実際には体に天然のクッションが存在しないため、 Staniford さんは足や腰、臀部などの痛みに苦しめられている。また、骨折などのリスクも一般の人より高いのだそうだ。

ある日の Staniford さんの食事(Tom Staniford さんの Twitter 投稿より)
ある日の Staniford さんの食事(Tom Staniford さんの Twitter 投稿より)

これほど痩せているにも関わらず、Staniford さんの血中の脂質濃度は非常に高く、肥満体の人と同程度のレベルに達しているという。このため、Staniford さんは糖尿病を発症。聴力も悪化し、現在は補聴器を使用しているそうだ。

University of Exeter が率いる国際研究チームは、Staniford さんと同様の症状を持つ3人の遺伝情報と、Staniford さんの遺伝情報を比較、遺伝子変異を発見した。University of Exeter Medical School の Andrew Hattersley 博士は、次のように説明している。

「Tom の症状は、何年もの間謎だった。まったく太ってはいないのに、2型糖尿病の症状を示す特異な例を目の当たりにしていたが、その原因がどこにあるのかについてはまったく分からなかった」

今回の発見により、同疾患の治療方法が見出される可能性がでてきた。これはまた、サイクリストである Staniford さんが2016年にブラジルのリオデジャネイロで開催されるパラリンピックに出場する可能性がでてきたことを意味している。現段階では、Staniford さんの筋力は一般人の40%程度しかないそうだ。だが、MDP 症候群の治療法が発見されれば、Staniford さんは、現在よりは多くの筋肉と脂肪を身に纏ってレースに参加できるようになるかもしれない。

だが、Staniford さん自身は、遺伝子治療の可能性に対してはとても現実的だという。彼は自身の糖尿病を、トレーニング、食事、経験の組み合わせで克服できると語っている。

「自転車の上で長時間を過ごしたことで、私はサイクリングを糖尿病に対する自己治療に利用できるようになった。ある種の食事を取り、ある種のサイクリングセッションを実行することで、より安定したインスリン管理が可能だということが分かっている」