一人暮らし歴6年になるものの、一度も料理をしたことのない男がいる――
モテ彦:
――僕である。
料理をしなくても生きてこられた。スーパーのお惣菜が安くなるタイミングさえ掴んでおけばよかった。けれど…
女子A:
“女性にとって料理のできる男性は「5割増かっこよく見える」のでしょうか?
答えはYES。”― NAVERまとめ
女子B:
“少女マンガ見てください。だいたい男は料理します。”― 発言小町
女子C:
“男性が料理をしている姿はすごく素敵だとおもいます!!”― Yahoo!知恵袋
ふとしたきっかけから見つけた青春への再入場口。これらが事実だとすれば、僕はみすみす“モテライフ”を逃していたことになる…。
しかし…料理をしようと思っても何から始めればいいのだろう。中学・高校の家庭科で行われていた愚民政策(それは「食べる・皿を洗う」までの工程を男子に経験させないこと)の効果がいま確かに表れているぞ。おのれ女子め~っ!
???:
それならベーコンエッグを作るのが良いわ。
モテ彦:
誰だ…!?
???:
目玉焼よ。
【STEP1】食材を揃えよう
モテ彦:
(唐突に始まったな…。)
目玉焼:
準備するものはベーコン1枚、たまご1個、胡椒。それだけよ。
モテ彦:
たまごすら家に置いてないのだけど…。包丁は使う? 持ち方がわからない…指とか切っちゃたりしないの?
目玉焼:
今回は使わないけれど、包丁も握らずに青春を取り戻せるなんて、そんな都合のいい話あるわけない。指の1本や2本、青春にくれてやれ!
モテ彦:
カムバック青春…!(指、大事にしよう…。)
【STEP2】ベーコンを焼こう
モテ彦:
たまご売り場がわからなくて店員さんに聞いたよ。もう心が折れそうだ。
目玉焼:
準備は整ったわね。まずはフライパンを弱火にかけて。
モテ彦:
弱火?
目玉焼:
弱火は弱火よ。女性経験が極端に少ないあなたにも分かるように言うと、一時はラブラブだった男女が倦怠期を境に連絡を取り合うことが少なくなって、でもふとした瞬間に「まだあの人のこと好きなんだ」とほんの少し思えるくらいの火加減よ。反吐が出るわ。
モテ彦:
(わからない…。)
※写真での火加減が“強火に近い中火”とわかりました。お詫びして訂正いたします。
目玉焼:
次に、ベーコンをフライパンにのせる。カリカリしてくるまで焼いてね。
モテ彦:
うっす。
モテ彦:
あ!ベーコンから脂が出てきた!すごい跳ねてる!こわい!火止めていいっすか?カメラを構えている余裕がないよ!
目玉焼:
だめよ。
【STEP3】たまごを焼こう
目玉焼:
最後に、ベーコンの上に卵を落として気が済むまで焼いて。さあ!
モテ彦:
(ざっくりしてるな…。)
モテ彦:
ベーコンの面積が足りなかった。最初にわかりそうなものなのに…。
目玉焼:
胡椒で味付けするのも忘れないで。
モテ彦:
できた!一点豪華主義のベーコンエッグ!
目玉焼:
(意味が違うわ…。)上出来、自分でつくった料理はおいしいものよ。それにしても残念なフォルムね。
モテ彦:
クラーケン(北欧伝承の海の怪物)をデフォルメしたような形だね。“たったいま浜辺に打ち上げられた感”がある。
目玉焼:
ようやく青春への第一歩を踏み出したわね。
モテ彦:
でもこんなに簡単に作れてしまうものを“料理”と呼んでもいいの?なにかの団体に圧力かけられないかな…?
目玉焼:
(簡単に?)そこは大丈夫。たとえば、情報源として絶大な信頼を得ている Wikipedia には「イギリス式の朝食には欠かせない“料理”」。デジタル大辞泉にも「焼いたベーコンに目玉焼きを添えた“料理”」と記されているわ。間違いなく料理よ!
モテ彦:
なるほど!つまりここまでの流れが“料理をつくる”ということかー!!
目玉焼:
料理の大変さを知っていれば、誰かに作ってもらったときに自然と「ありがとう」と口から出るもの。全く料理ができないのと、少しでも料理ができるのとでは大きな差があるのよ。「おいしい」も言えない男は総じてクズ!ごはんを作ってもらうのは当たり前!?それおま、ちゃんちゃら、ちゃんちゃらおかしいわ!目玉を焼いてやりたい!!
モテ彦:
これやっぱり胡椒が濃いなあー!!
※今回のようなケースでは、“フライパンに蓋をするのが一般的”とわかりました。お詫びして訂正いたします。