東京都・南新宿にある「楢製麺」の「特製塩」を食べてみました。透明なのに濃厚な鶏スープと丸ごとのタケノコ、多彩なチャーシューが魅力の一杯です。ラーメンのようですが、ラーメンと言いきれない独特の麺料理。
南新宿・代々木から歩いてすぐ
お店の場所は小田急線の南新宿駅やJR線代々木駅から歩いてすこし。目立たない入口の、カウンターだけのお店ですが、平日昼過ぎに足を運んだ際は入店待ちの人が並んでいました。
店内は落ち着いた雰囲気で、塩コショウの入れものやお水の入ったピッチャーもおしゃれ。箸やお手拭きはカウンターの下の引き出しから出てきます。
メニューはというと、スープは醤油、塩、鶏白湯の3種類から選べて、トッピングがタケノコだけの通常版はすべて780円(税込、以下同じ)、3種類のチャーシューに味つけ玉子もついた「特製」が1,380円です。
「特製塩」をチョイス!
今回は初めてとあって「塩」の通常版を注文したのですが、両隣のお客は慣れたようすで特製を頼んでおり、チャーシューがとてもおいしそうだったので、つい後から特製に変更し、別皿でトッピングをつけてもらいました。
スープは透き通っていますが、レンゲですくってみるとたっぷり鶏のダシが出ているのが解ります。飲んでみるととても濃厚で、スープだけでひとつの料理として成り立つしっかりしたコクとうまみがあります。メニューの説明によると、山梨県産の「信玄鶏」と鳥取県産「大山鶏」のもも肉、手羽元、ガラから時間をかけてとったダシと、北海道産の「羅臼昆布」からとったダシを合わせているとのこと。
麺はさっぱりとしていてとてもスープによくからみます。でも、あまりラーメンらしくない食べごこち。メニューの説明によると、一般にラーメンを特徴づける食材である「かんすい」を使っていないため「ラーメンと言いきれない独自の麺類かうどんの進化系」とのことでした。なるほど極細のコシの強いうどん、と言われれば納得します。
タケノコは一見すると淡泊そう。ただしちゃんと塩気はついていて、風味もあり、歯ざわりも心地よく、トッピングの主役として十分な個性があります。鹿児島県産の「真竹」を使っているとのこと。カリカリと半分以上食べてから気づいたのですが、こちらは一般にラーメンに入っているメンマに相当するもののようです。
「特製」を頼むとついてくるチャーシューは豪華3種類です。
「炙り鶏チャーシュー」は山梨県産信玄鶏のむね肉を低温調理でしっとりさせたまま盛りつける前に軽くあぶり、香りと食感を楽しめるようにしてあるそう。汁気があって、ひと口目はむね肉とは思えない口あたり。ほのかにスモーキーな香りも食欲をそそります。
「ロースト豚チャーシュー」は宮崎県産豚の肩ロースを炭火で表面を焼きうまみを閉じ込めたあとじっくりと低温調理でしあげたものとのこと。これまた汁気があってかつポークの香りがしっかり楽しめる一枚です。
「豚トロチャーシュー」は宮崎県産四元豚「夢の大地」を時間をかけて炊き込み、やわらかくしあげたもの。豚の角煮がごろっと入っている一生で、とろとろになった脂の部分がシルキーな舌ざわりかつこってりしたうまみで、意外にも鶏主体のスープとの相性がよいトッピングでした。
玉子は齧ると黄身がさわやかなレモン色で驚きます。こちらは栃木県産平飼い鶏の有精卵を和だしで薄く味つけしたものとか。上品な風味で、濃厚な鶏スープにつけると楽しみが増します。刻みネギも栃木県産の「白美人ねぎ」とのことで、とにかく各地の名のある食材を選んで組み合わせていることがうかがえる一杯でした。
楢製麺
東京都渋谷区代々木2-26-2 第2桑野ビル
住所:東京都渋谷区代々木2-26-2