松屋のとんかつ業態「松のや」のヒレかつがリニューアルし、「大判ヒレかつ定食」という新メニューに変わったので、さっそく食べてみました。
価格は750円(税込)。どっしりとぶあつく広いヒレかつをザクザクと5枚に切り分け、網に載せて出してくれます。ご飯のほかみそ汁つき。
このヒレかつ。ロースかつと同じぐらいのボリュームがあり、肉質はやわらかく汁気たっぷりですが、脂はごく少なく、ほとんど存在を感じません。ではポークの風味が弱いかというとそうではなく、独特のさわやかな香味が鼻をくすぐります。
とんかつソースをかけてひときれ食べると、揚げたてかりかりの衣とふっくらやわらかなヒレとがよいコントラストになっています。淡泊な味で、ご飯のおかずにしなくてもそのままどんどん箸が進みます。
せっかくなので千切りのキャベツと一緒に味わうと、揚げものなのにくどさがなく、サラダを楽しんでいる感覚。レモンをしぼっても、すでにさっぱりとした食べ心地はさほど変化せず、柑橘のよい香りとすっぱさが加わったな、と思うだけ。レモンはロースかつにかけると脂が持つ濃い肉の味を引き立たせるのですが、ぶあついヒレかつだとちょっと違った味わいになります。
ねり辛子をかけても、ピリっとした辛さはヒレかつのやさしいうまみに、ちょっとしたいろどりを添えてくれますが、ロースかつのようにとてもメリハリがきくという印象ではありません。
とんかつのお店に備えつけの調味料の多くは、ヒレよりロースとの相性を考えているのだなとあらためて認識しました。
やはりヒレかつはソースや醤油だけでシンプルに味わってこそ一番おいしいかもしれない、と考えるころには5枚のかつがすべてなくなっていました。食べ終わる頃にはお腹は十分いっぱいになりますが、舌ではもっと何枚も色々な味を試しつつヒレかつを楽しみたい、と考えてしまう定食でした。